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ABOUT CLOCHEクロシェについて

MESSAGE代表者あいさつ

沼部健

株式会社クロシェ代表取締役の沼部健さんに、スタッフがインタビューしました。
クロシェにとってのDXと、その目指すところ、リアル店舗の今後の役割、また、家事や仕事をシームレスに楽しむ価値観や、スタッフに対する思いについて聞くことができました。年に数回、会社の屋上で行うBBQでは、自家製ローストビーフやエビパン、煮込みなど美味しい料理をたくさん準備してきてくれる、サービス精神旺盛の沼部さん。今回のインタビューを通じて、そのおもてなし精神の源に触れた気がします。
ちなみに、株式会社クロシェ創立者の沼部美由紀さん(現:クロシェホールディングス代表)と区別するため、社内では「美由紀さん」「沼部さん」と呼び分けています。

デジタル化することがゴールではなく、目的は「ここち良さ」。あたらしい時代の「ここち良さ」をみんなで考えていきたい。

DX(デジタルトランスフォーメーション)について、沼部さんの視点から、どのようにとらえていますか?

最近DXという言葉があちこちに広がっているけど、同じような変革は、呼び名は違えど昔から常にあるね。たとえば僕が社会に出た1991年、伝票は全部手書きで、手がしびれるほど書いて出荷作業をしてた。1995年の震災後に携帯電話が普及して、2000年ごろからインターネットが出てきて、今あたりまえに使っている便利なものがだんだん増えていって、それに即して運用が変わっていった。
今、「デジタルトランスフォーメーション」って言ってるけど、あと5年たったらもっと進化しているかもしれない。

アパレルの業界は91年から30年見てきたけれど、リアル店舗でお客様にしていることは、ほとんど変わってない。郵送のDMがメルマガやLINEになったりしたぐらい。1対1ツールがメインになって、デジタルで配信できるようになった、という変化かな。

携帯をガラケーからスマホに自然と乗り換えていったように、デジタル化が知らず知らずのうちに僕らの日常生活に落ちていって、意識しなくても必然的に移行していくものだと思う。

以前はオンラインとオフラインを別の事業として分けて考えてしまいがちでしたね。

どうしても売る側が売りやすく、管理しやすい組織体系として、リアル店舗、オンラインショップと別々の部署になっているけど、一方、買う側からはそんなことはどうでもよくて、オンライン・オフラインの区別がない。
アパレル業界ではリアル店舗が先だったから、どうしてもお客様をオンラインに取られる感覚があった。でも目的は「お客様にここち良く買い物してもらうこと」で同じはず。
大切なのは、いかにここち良く、価値のある体験ができるか。
リアル店舗、オンライン、POP-UP、接点がどこであっても、そのブランドの世界観に触れられて楽しめるのが理想。

最近クロシェではWEB接客ツールを導入しましたが、DXによって場所と時間を固定されず、買う側も販売する側も自由度をあげてくれると思います。

デジタルのメリットは時間と場所に縛られないこと。
それはオンラインショップで昔からできていたけれど、今回のDXで目指すのは、いかに丁寧に、かゆいところに手が届くようにアップデートできるかどうか。
お客様が感じていることを丁寧に汲んで、先回りしてお困りごとに気付くような動きができて初めて価値があると思う。
デジタル化することがゴールではなく、目的は「ここち良さ」だから。

モノを売るだけの場所ではない、本当に価値のあるコンテンツで、ファッションの楽しい体験を提供したい。

コロナの自粛期間中、オンラインでたいがいのことができることに、みんなが気付いてしまった。モノを買うだけならオンラインで済んでしまうので、今後、リアルな体験は、人々にとってレアで貴重なものになるのでは、と感じています。

リアル店舗では今後、オンラインでできないことをしないと求められなくなると思う。
それが何かを知るためにも、デジタル起点で考えないとね。オンライン発信からどうやってリアルに誘導するかを考えるのが必然。

モノを売ることだけ考えるのではなく、お客さまのいろんな変化球に柔軟に対応して、いかに満足度を上げられるかが一番大事。
例えば、お客様のクローゼットにある服に合わせたコーデを組んで、すでにもっているものを活かせる提案をするとか、今までと違うサービスを提供することを考えないと。メンバーズサロン的な特別感のある場所になるのかもね。
すでにJasminSpeaks(ジャスミンスピークス)はそんな場所。イベントをやって毎回お客様が集ってくれる、ということはそれだけ期待されているということだと思う。

リアル店舗もオンラインショップも、どちらも目的は同じで、ブランドの世界観を表現して、価値のある体験を提供することですね。

そうだね、重要なのは、モノを売るだけの場所ではない、本当に価値のあるコンテンツになっているか。

ところでJasminSpeaksといえば、心の底からファッションが好きでこだわりの強いスタッフたちとお客様が集う、特に熱量の高いピュアなコミュニティです。
スタートから22年、地元の顧客様にずっと愛され続けていますが、2021年はその魅力を全国的に発信していくプロジェクトが始動します。JasminSpeaksを介して海外の素敵なクリエイターも紹介していきたいですね。

モノを売っていた時代から、ファッションをキュレーションするプラットフォームになることがこのプロジェクトの成功なのかな。
ファッション業界は年々お店が減っていって、デザイナーにとっても広めるのが大変な時代。バイヤーが買い付けて並べたところで、人が来なくなってきて、お店も淘汰される。 モノを作っても見てもらえる機会が減っている状況。

デザイナーを対C(消費者)につなげて、ファッションの楽しみを体験してもらうこと。それをあたらしいプラットフォームで叶えたい。

今回のプロジェクトに、現時点で10社以上のブランドが期待してくれて参加してくれることが決まりました。

参加してくれたブランドに喜んでもらえるように盛り上がりたいね。そして他のブランドにも推薦してもらえるようような存在にならないと。

沼部健

仕事でも家庭でも、思いやりが根本にあって、心の中で繋がってる。

ところで沼部さんに聞いてみたいことがあって。
今、女性の社会進出が話題ですが、家族の在り方も同じように話題にならないと成立しないんじゃないかと個人的に思っています。
美由紀さん(株式会社クロシェホールディングス代表)はもちろんすごくパワフルな方ですが、あれだけ活き活きと跳びまわれるのって、母親や妻に家事を全部任せるという価値観ではない、沼部家の自立したライフスタイルがあればこそなんじゃないかと感じていて。

うん。沼部美由紀、仕事に関してすごく尊敬してる。
1996年、震災翌年で神戸がゼロベースになったタイミングで、何も持っていない状況で、商売がしたいと彼女が言ったときから。やっぱり創業するって大変なことだから。
とにかくまあ仕事のことしか考えてない、というくらい、彼女自身の人生の中の大きなウェイトを占めていると思うし、そんな彼女の力が最大限、発揮できるように応援したいと思ってる。

美由紀さんも沼部さんも、仕事もバリバリこなしながら家事も自分のための時間もちゃんと楽しんでいるように見えます。

これは仕事だから、これはプライベートだから、と分けて考えたことはないかな。まずは楽しむことが全て。
もちろん仕事をしていると、うまくいかないことやイヤなこともあるけど、会社って、家族みたいなもんだと思っていて。新入社員は生まれたての子供みたいなもの。
たとえば子供のころ親に言われて反抗したけど、大人になってから理解できるように、会社で言えば、立場が変わってマネージングするようになって初めてわかることってあって、初めは言われてイヤだなと思っても、「あの時、だからこういうことを言っていたんだな」とわかってくれるものだと思ってる。

思いやりが根本にあって、それが心の中で繋がっている、みんなが親子関係だと感じているような会社だと思う。

信頼関係ということでしょうか?

信頼しないと信頼してもらえない。
仕事って1人でできることではないし、みんなそれぞれ立場や役割が違っていて、お互い信頼関係がなければ前に進まない。

新入社員を取る際は、家族として迎え入れるという視点で、どんなところに注目していますか?

履歴書を見ていろいろ想像しちゃうけど、色眼鏡で見てしまうより、やっぱり面談の時の表情や行動で、どう思っているのか見るのが大事かな。
会話が成立しないとか、質問に対する回答の中身が全然違っていたりとか、もちろん緊張もあると思うけど、聞かれたことに対してきちっと対応できるかはポイントなのかな。でも、少なからず手を挙げてクロシェに来てくれて、話をしてみて同じ方向を向けたと感じたのであれば、可能性を感じる。

新しいことにチャレンジして、人生の新しいページが開けるチャンスがみんなにある。

ではスタッフに、クロシェでどう過ごして、どうなってほしいですか?

クロシェは、透明性があり進化を続ける会社であってほしから、次世代にバトンタッチを続けていくべきだと思ってる。だからスタッフが社長になったり起業することが、ひとつの魅力になるような会社にしていきたいし、それがアパレル以外のことだって良いと思っている。そのためにホールディングス化したんだから。

新しい事業をやりたいと手を挙げた人が起業して、それを会社が支援して事業をしていくようなことが今後あたりまえに起こって欲しい。もちろん社内の事業としてでもいいよ。たとえばひとつのブランド事業をたちあげたとして、どこまで本気で、お金のやりくりまで考えてやれるかって、一番上に立たないとわからない。
自分が新しいことにチャレンジして、人生の新しいページが開けるようなチャンスがある会社でないといけないと思ってる。

最終的には自立して旗を振りながら新しいものを生み出していって欲しい、と。

そうだね。たまたま今はアパレル企業だけど、アパレルしかやらないと思っているわけではないし、定款を書き換えることだってできるし。
自分で自営業するのもいいし、社内独立もどんどんしていくべきだし、みんながトライできたらいいと思ってる。

もちろん一番最初は与えられた場所から、順序だててやっていくことにはなるけど、いつかは事業を任せて欲しいという目標を持って、今はそのために働いていると思うようなスタッフがたくさん出てきて欲しいなと思ってる。

お客様の視点を知っていることは、なにか作り出すときにとても重要ですね。

川上も川下も両方わかってこそ1つのビジネスが成立すると思う。
お客様に商品の説明をするとき、自分が心から良いと思うものでないと勧められないよね。あたりまえだけど世の中に受け入れられるものは「必要なもの」。

スタッフもお客様も、どちらも笑顔でいれるように。
人間は環境に染まるもの。自分がキレイにしていれば相手もキレイにしてくれる。

世の中に必要とされることを目指すことが、みんなの幸福度があがる一番シンプルな方法だと思う。
お客様はもちろん、働く自分たちも笑顔でいることが重要。
スタッフの楽しそうな様子を見てお客さまも喜ぶ、一連の笑顔が連鎖することでうまくいくと思う。どちらかが苦しいのはだめで、両方が常に笑顔でいれるように。心に余裕を持ちたいね。

仕事も家庭も遊びも全部楽しむコツはありますか?

前向きでいることかな?
家事は、もちろんイヤな時もあるよ。でも、原則「やられて嫌なことはしない」。
後片付けをしておけば、次にスタートするときにマイナスから始めなくてすむ。それは仕事でも家事でも遊びでも共通だと思う。

人間は環境に染まるもの。
汚れた環境にいれば、汚すことに抵抗がなくなって、行動が雑になる。逆にピカピカにしていれば、きれいに扱おうと思う。だから、どこに身を置くかはすごく大事。
自分がキレイにしていれば相手もキレイにしてくれるもの。

そういう行動を見ているから、自分の子供も料理に興味を持っているし、手間をイヤだと思わないみたい。
うちは、家族は全員、何かしら役割をもちなさい、というモットーがあるんだよね。
「とにかく役に立つこと」をルール付けしてる。

朝は一時間ぐらいの間に、二人の子供のお弁当を作って、その間に朝食を作って片付けないといけないから、「ハイこれやった」「次これやって」「これは終わった?」と声を掛け合いながら一緒にやってるよ。

賑やかそうです(笑)家族で協力し合ってるんですね。

沼部美由紀のインタビューはこちら